引きこもりやニートとパソコンを使った働き方について

この記事は、引きこもりをもつ親の会でプレゼンを依頼されたため、自分の考えをまとめるために作成しました。 ニートや引きこもりになる原因と、そうなってしまった時の対処法。また、パソコンを使った働き方が社会に出るための助けになるかどうかを考えて書きました。

結論としては、パソコンを使った働き方でニートや引きこもりが解決できるとは思いませんし、状況が悪くなる可能性もあります。しかし、引きこもりやニートが自分で生活するためにお金を稼ぐ手段としては「ある」ということだけ紹介したいと思います。

また、ご意見などありましたらお待ちしています。ニートから成り上がったみたいな話が聞きたいです。

自己紹介

こんにちは。しもじです。大学を卒業して3回転職し、現在は沖縄県で事務の仕事をしている33歳のの会社員です。

親が不仲な機能不全家族で育ちました。大学生のころは社会不安症と診断され、現在も抑うつ傾向があり心療内科に通っています。弟もニートで統合失調症と診断されています。これまでに不登校、引きこもり、浪人、大学院の中退、ニート、フリーターを経験しました。教員の仕事を辞めて旅している時は住所不定無職のホームレスでした。挫折と失敗しかない人生です。現在は職場の近くに住んで、何とか仕事をしている状態です。

ニートや引きこもりが好き

まず、私自身引きこもりだった経験があり、何とか働いているけど内心はニートだと思っているので、引きこもりやニートに対して仲間意識があります。これまで出会ってきた引きこもりやニートを含む社会的に「普通じゃない」人たちは、独特な世界観を持った個性豊かな人が多く、一緒にいると楽しいです。社会に受け入れられなかった経験からくる反骨精神みたいなものを昇華させて独特な世界観を築くの人や、問題に対して独自の工夫をしている人がいるので、そこに人間の強さや知恵を見つけて尊敬することさえあります。

ニートの問題点

ニート(Not in Employment、Education or Training)の定義は「15歳から34歳までの、家事・通学・就業をせず、職業訓練も受けていない者。」とされています。また、引きこもりは「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」のことをいうそうです。

2018年、内閣府の調査によると若年無業者の数は74万人とされています。34歳を超えるとただの無職になってしまいますので、高齢になったニートを含めると100万人を超えると予測されます。また、仕事以外は引きこもって他人との関わりを持たない「潜在的な引きこもり・ニート」のような人もいます。これを含めると200万人近くいくのではないでしょうか。

家族にとってはニートが身内にいると辛い思いをなさったりしていると思いますが、これまでに見てきた色々なタイプの引きこもりやのニートがいて一概にどれが悪いとは断言することはできません(とても楽しそうなニートもいました)

強いて言うなら、働けないということではなく、その内面に抱えていることに問題があるように思います。苦しんでいたり、周囲を苦しませている引きこもりやニートは以下のような問題があるのではないでしょうか?

  • 自分が見えていない。現状を当たり前だと思っている。
  •  (他人に迷惑をかけない人はいないといっても)親や周りに頼り過ぎていたり、損害を与えている。
  •  自分に自信がない。自分を傷つけている。許せない。絶望している。前向きになれない。
  •  自分が受け入れられない感覚と他人に対する怒りを抱えている。

より良いニートを目指して

「自分の世界観を守って、工夫してサバイバルしている」引きこもりや無職は「良いニート」です。マイナスの状態からでも何とか生きていこうとする意思は前向きで、周りを勇気付けることができます。 定職につかないニート同士で、または、理解のある人の元に集まってお互いに助け合ったり、楽しんだりしているコミュニティは一定数存在します。 組織に所属して「普通の人生」を追い求めるよりも、働けなくても前向きに生きていこうとする姿勢は大切です。働くことよりも先に、上にあげた問題点を解消してより良いニートになることをまずは心がけましょう。より良いニートを目指す方法を考えてみました。必要なことをハードルの低い順に以下に書いていきます。

日々のやることを持ちたい

高齢者に大切なことは「きょういくときょうよう」と言われています。「今日行くところと」「今日用事があること」です。これはニートにとっても大切なことです。

毎日なにもすることがなく達成感の得られない、ニート業界の用語でいう「うんこ製造機」になってしまう日々が続くとメンタル的に良くありません。 日々の予定や行くところがあれは望ましいです。通院したり、買い物を引き受けたり、人の目が気になるなら夜になって少しだけ散歩するなど、少しでも外に出られるようにしてメンタルを保つような努力が必要です。

身の回りのことができるようになりたい

ニートは、親が亡くなっても生きてけることを当面の目標にすると良いです。そして最低限、買い物や家事や片付けなど身の回りのことができれば生きていくことが出来ます。なるべく親に頼らずに身の回りのことを自分でできるように努力して、生活習慣を整えて欲しいです。

楽しみを持ちたい

周りの引きこもり系の人たちは「好きな漫画やゲーム、ラノベの発売」などを楽しみにしているようです。私自身もそれは楽しみのひとつです。歳を重ねるごとに既視感があったり、新しい文化への理解力が低下してしまうことで楽しいと思えることが減っていくという問題点はありますが、それで十分だと思います。それを知人や友人とシェアして共感できると、より楽しみが増えてきます。

生きるハードルを下げたい

働かなくても生きていくためには生活保護や福祉に頼ることが必須になってきます。また、福祉にアクセスすることで他人との関わりも出てきます。医療機関や様々なサポートを受けて人と関わることで、成長するきっかけを得ることもできます。親が亡くなってからでは遅いので、できるだけ早めにニートが受けられる支援について調べておきましょう。

たとえニートから働けるようになったとしても、引きこもりがギリギリの状態で社会生活を送る人生は辛いですし、根本的な解決になっていません。自分にとって何が幸せかを考えて、あまり無理をせずに生きていくことも選択肢のひとつとして持っておくことも必要です。

私の中学校の同級生は就労支援施設で「おしぼりのゴミをとる仕事」をしていますが、話を聞いていると楽しそうだし、羨ましい気持ちさえあります。もし自分が働けなくなったら一緒の施設で働きたいなと考えています。

自分の居場所を見つけたい

学校や家庭、職場に自分の居場所がなかった。いじめやパワハラなどの辛い体験がきっかけで引きこもりやニートになることは良くあるパターンです。ニートは狭い人生経験の中で「世界に自分には居場所はどこにも無い」と思いがちですが、世の中には引きこもりやニートに理解があり、受け入れてくれるコミュニティやシェアハウス、職場などが多数あります。

これまでの学校や職場で良い関係が築けなかったとしても、たいしたことは無いです。「居場所はひとつではない」ということを肝に命じましょう。同じ日本人だとしても全然人種が異なりますし、探せばきっと自分と同じ種族の人に出会うことができます。世の中には受け入れてくれる人や場所があることを知りましょう。探せばあなたに合った居場所が見つかるはずです。探す努力をしましょう。知らない人の輪の中に入っていく勇気を持ちましょう。

いちどでも他人に受け入れてもらえたという経験は、大きな心の支えになります。

私の場合、引きこもって大学に行けなかった時期に、学生寮の食堂のおばちゃんが心配してくださり、おばちゃんが所属する草野球のチームに参加させてもらいました。そこで高齢者の方々と野球をしたり、スナックに連れて行ってもらったりと付き合いが始まり、その中で励まされた思い出があります。 これまでの経験から、他人を元気付けられる人は、元気なおばちゃんや高齢者に多い気がします。彼女たちは何故か「良いもの持ってる!」とか「お前が一番だ!」とか、まったく根拠の無い無責任な励ましをしてきます。不思議なことですが、時間が経ってみると、こような根拠のない励ましのひとつひとつが自分の心の支えになっていることに気付きます。このような過去から、私も元気の無い若者がいたら、根拠なく褒めたり、励ましたりできる高齢者になりたいと思っています。

もしも、引きこもりやニートが高齢者と関わりがもてる機会や場所があれば、参加してみると良いかもしれません。チヤホヤされるので自己肯定感を高めるのに役立つでしょう。

他人と関わりたい

長らく他人との関わりがなかったり、孤独な生活を送っていると自分が見えなくなってしまいます。何か打ち込むものがあったり、夢中になっていることがあれば別ですが、ニートは毎日なにもしていないにも関わらず「頑張れば人生逆転できる」といった現実を無視した妄想を持ってしまいがちです。何事も日々の積み重ねが大切で、人生に逆転はほぼないので、自分を素直に受け入れて改善して行くことが必要です。 ニートはこのようなガチガチの妄想で固まった世界観や自己像を壊して、現実を受け入れていくことが必要です。また、楽な生き方をするためには人間関係を良好に築くソーシャルスキルの訓練(SST)が必要です。引きこもりながらそれを行うのは難しいので、医療機関でのカウンセリングやボランティア、サークルなどの何かしらの人との関わりを持ちましょう。親以外の人と接することで他人の感覚を得ることができるので、何をすれば他人が嫌がるとか喜ぶとかを考えて、また、自分をどのように変えればよいかということ学習しましょう。

生きていくのに学力やコミニケーション能力はあまり関係ないと思っています。必要なものは人間性です。人柄さえ良ければとりあえず生きていけるので「優しそう」「楽しそう」「明るい」といった人はニートでも問題ないでしょう。受け入れられる人柄にある程度の社会性が加わればより生きやすくなりますし、働くことも可能になってくると思います。

変な人に会いたい

自分の価値観を変えるという点で、ある程度人と接することができるようになった段階で、破天荒な人に会ったり色々な人の話を直接聞くとよいです。偉い活動家や講演家じゃなくてよいです。決まった社会のレールに乗らなくても生活できている人は大勢いるし、辛い状況でも何とか生活している人は世の中にたくさんいることを知ることができます。私自身も色々な人の話を聞いて、考え方を柔軟にできたから何とかやっていけているなと感じています。例えばこんな人たちです。

  • 貧乏旅行してベトナムで銃を突きつけられた大学の先輩
  •  バイトを転々として何とか生活している大学の先輩
  •  株(デイトレード)と競馬で生活しているおじさん
  •  車にソーラーパネルを積んで旅をするプログラマーさん
  •  岩手の山奥に競売物件の土地買って自分で小屋を立てようとするブロガーさん

平凡な人生は幸せですが、それは家庭環境、金銭問題、障害や病気、全てのハードルを運よくクリアしたごく限られた人のものです。若い頃はなんとか立て直せると思っていましたが、今ではまともになることは諦めて、普通じゃない幸せを見つけるしかないという考えに変わってきました。今まで出会ったヤバい人たちのおかげです。

人生の目的(生きがい)を持ちたい

「自分が何をしたいのか分からない」「生きている実感が無い」という悩みは、大企業に勤めている人や順風満帆な人生を送っているように見える人でさえ、誰でも抱える可能性のある問題です。ですので人生に目的を見出すことは並大抵のことではできません。人生に目的を持とうとか他人が軽々しくアドバイスできることではないと思います。

しかし、根本的には、本当に自分のやりたいことは何なのか考えて行動できるようにできることが望ましいので、もし「生きることに目的ができた」とすれば、働いていなくてもニートではないと思います。

1人になれる時間があるのはある意味良いことです。徹底的に自己分析してみてください。自分のやりたいこと、できること、これまでやってきたこと、人から頼まれたこと、好きなこと、嫌いなこと。これらを整理して自分がどうしたいのか方向性を決めてみると良いかもしれません。また、他人との関わりの中で自分が見えてきます。考えの違う他人との関わりも大切にしてください。

パソコンを使った最近の仕事について

次にパソコンを使った働き方について考えていきたいと思います。パソコン関係に詳しくない人のためそちらから説明していきます。

パソコンを使ってできることについてざっくりと説明すると、「文字や数字、絵を使った全てのことができる」だと思います。よくよく考えれば身の回りのものはすべて数字や文字が使われているので何でもできると言ってもよいでしょう。「計算する」「文章を書く」「絵を書く」の3つの機能に分けると分かりやすいと思います。これらを複数組み合わせて作業をし、インターネットで他人とやり取りをすることが「パソコンを使った仕事」といえます。

また、イラストや漫画、クラフトワーク、手作りのグッズなど自分で作った商品を販売できるアプリやサービスがあります。

これだけで生計を立てていく場合はスキルを磨くのと同時に、ブログやSNS、リアルでの繋がりを使って総合的に情報発信する必要があります。仕事ですね。

趣味や小遣い稼ぎの範囲ですが、自分で行なった例としてSUZURIを挙げます。

雑に作る屋さん ( shimyuta12 )のオリジナルグッズ・アイテム通販 ∞ SUZURI(スズリ)
雑に作る屋さん ( shimyuta12 )の公式アイテムの通販サイト。お絵かきしたりしてます!

自分で取り分を設定できて、商品1つにつき500円もらえるように設定しています。3年ほどやって現在まで2,4770円の売り上げがあったようです(ありがとうございます!)最後のスライドに参考として載せておきます。

引きこもりやニートとパソコンを使った働き方の考察

ニートが働く時の課題

例えば引きこもりやニートがいきなり働こうとすると、以下のような課題に直面すると思われます。解決方法についてはまだアイディアがないのでこれから考えていきたいと思います。

  •  心理的安全性がないので失敗を極端に恐れる。少しのミスであきらめる。
  •  人間関係に対応できない→職場に行けない。
  •  納期を守れない。

パソコンを与えることで発生する問題

ある程度の技術や知識が無いとパソコンを使うことが難しいですし、その習得には時間と根気強さが必要になってきます。パソコンの作業は自律神経を乱れさせることもありますし、体に合わない(目や頭が痛くなる)といった方もいるので、パソコンを使えば誰でも簡単にお金が稼げるといったことは無いです。 また、引きこもりがパソコンやインターネットを使うことでの以下のようなリスクも考えられます。

  •  技術を習得しようとするとき、他人と比較してやる気を無くす。
  •  世の中に触れていると思い込むが、実は自分好みの情報しか見ていない。
  •  自分の考えが強化されるため、妄想が膨らむことで統合失調の発症を促す恐れがある。
  •  ネット依存症の問題。無数にある娯楽や刺激から依存症になる。 
  • ネット上でのコミニケーションの問題。他人から攻撃されるリスクがある。
  •  ネットリテラシーの問題。誤った情報の発信や誹謗中傷、犯罪行為を行う可能性がある。

引きこもりやニートがパソコンを使って稼ぐということ

引きこもりながら描いた漫画を投稿してそれが出版された話や、投稿したなろう系小説がアニメ化された話。作ったアプリやゲームがヒットしたなど夢のある話もあります。また、稼ぐだけでなく、SNSを通じてコミュニティを形成したり、ニート界隈で人気者になったりして本を出版する人もいます。それらは、他人と協力できたり、何かを継続して取り組んだり、技術を磨いて作品を発表し続けた結果であって、誰にでもなれるわけではありません。

ソフトやハードウェアの使用に抵抗がなく1日何時間も画面を見続けることが出来れば問題ありませんが、パソコンやインターネットを使って何をするにしても(コミニケーションを含む)スキルが必要であり、リスクがあるということに留意してこれらを利用する必要があります。

特に、引きこもりやニートは社会から抑圧された経験を持っている人が多いと思うので、その負の感情を何かに変えて発散できると良い循環が生まれる場合があるかもしれません。

しかし、個人的には体を使ったり、手を動かす作業の方が健康に良いし、リハビリとしての効果が高いと思います。また、パソコンのスキルについて、エクセルやワードなどの技術を身に付けたいのであれば職業訓練校でお金をもらいながら学習した方が良いと思います。

パソコンスキルさえ身につければ食べていけるとは思わず、ただの可能性のひとつとしてパソコンを使った働き方があるといった認識で良いのではと考えています。もしも、パソコンやインターネットが好きで、うまく使いこなせるようになって、興味のあることができたときはチャレンジしてみてください。自分の健康を損ねることなく、見ている人をを楽しませたり、まわりの利益になることが出来れば、開けてくる可能性もあると思います。

最後に、参考としてニートが協力して生活している事例などを挙げます。どちらも読んでいないのですが、phaさんが立ち上げたコミュニティ兼シェアハウスである「ギークハウス」は岩手県で3年間お世話になりました。

また、その時ギークハウスに来た(当時)ニートの方から教えてもらったNPO法人共生舎の山奥ニートさんが本を出しているので参考になると思います。

以上、引きこもりやニートとパソコンを使った働き方についてのお話でした。

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